特集 featured article
Art of living
生きている感動を積み重ねる
第二夜
風をつかまえて進め
順風をつかまえて進め
心が踊るほうへ 弾むほうへ 進め
心臓が飛び出しそうなほどドキドキした
抑えきれないぐらいニヤニヤした
涙が流れた 言葉を失った
それぐらい心を揺さぶられて
自分にとって意味がないなんてことあるものか
風は一瞬 見えない合図
素直に舵を切らなくちゃ
凪の日もある
だらしなく垂れ下がった帆のように
何もしたくない日だってある
それでもヨットが壊れたわけじゃない
感動できない人になったわけじゃない
はりきって航海を始めたあの日 確かに力強い風を受けたんだ
そよ風をつかまえて進め
心が揺れるほうへ 傾くほうへ 進め
山頂で食べたおにぎりの味 真夏のかき氷
お風呂に入ったときの極楽なため息
友だちとおなかが痛くなるほど笑って
時間を忘れて好きなことをして
じんわり感じる至福のときに優劣なんてあるものか
風は一瞬 見えない合図
よそ見してたらもったいない
乱気流の日もある
他のヨットに追い越されて
急につまらなく思えてくる日だってある
それでも進みたい気持ちは変わらない
あたりまえの日々にも心地いい風は吹いている
振り返って遠くに岸を臨む今日 小さな風を集めてここまで来たんだ
風をつかまえて進む
どこまでも進む
今この瞬間に吹いている風をつかまえて
・・・・・・・・・
第三夜 心と体をととのえる
ことばをお聴きのみなさまへ
こんばんは。第二夜のキーワードは「生きている感動を積み重ねる」でした。
あなたの「順風」「そよ風」はなんですか?
最近、心が動いたことはなんですか?
大きくても小さくても、るんるん、でも、むかむか、でも。あなたの感じた「風」について自分のために書き出してみませんか。そして、よかったら私たちにも聴かせてください。おたよりを募集してます。
さてさて。第一夜「可能性を広げる」に届いたおたよりをご紹介します。
◯よかれと思って用意したこととかが相手に必要とされなかったときに、自分で勝手によかれと思っただけなのに、裏切られたと感じてがっかりすることがあったなあ、と思った。
息子がピアノを習い始めて『わりと才能があるかも』と先生に言われ、『まさか私の子どもなのにそんな才能があるわけないしねー』と友だちに話したら、親が勝手に上限を決めるのはおかしくない? と言われました。
――なおごろうさん
◯よかれが合う人同士が友だちなのかなと思いました。
――ヤンソンさん
◯言葉はヴェールをかぶっている、と感じることがよくあります。発する人によって感じが変わるし、言い方によって印象がまるで違う。だからこそ、勘違いのないきれいな言葉を話したいと思っています でも、言葉を受け取る時にかかっているヴェールの中に手を入れて探ってみると、その言葉の真ん中の部分に手が届いて、その言葉の本当の意味を感じることができるように思います。
これって本当は、言葉のヴェールの中を探っているのではなく、自分の中を探究しているのかも。
こう思いたい、こう感じたいって私は自分が気持ちよくなりたいワガママな人間です。でもそのワガママに気づいた時、「プッ」と「クスッ」と笑ってしまって、それから先に行けるんじゃないかと。ワガママだからこそ成長できるんじゃないかと。
人間て言葉を持っている不思議な動物ですよね。ワガママで勝手で自分達が賢いと思いあがっていて、それでいて温かい心を持っている。そういうことに気づいた時に、自分の中心とつながれた時に、いろんな人の温かい部分とつながっていけるのかなぁ、と思います。
――June blossomさん
おたより、ありがとうございました。ヨギーが大切にしている「美しく生きる」という大きなテーマを、19の小さなキーワードで、さらに小さな日々のつぶやきのような言葉で感じてみたい。そんな想いから、おたよりを募集しています。
「可能性を広げる」という同じひとつのキーワードから、人それぞれの連想が広がって。正解、不正解ではなくて。ちなみに、内田松里さんの絵も、ことばを読んでからイメージをふくらませて描いてくださっています。
ひとりひとりの言葉に、ちょっとずつ入っている人生のかけら。小さなかけらが集まって、だんだん大きな絵が見えてくるかも。そんなこんなを、このぺたっとした機械の白い画面に散りばめて、作品みたいに展示していけたらなと思います。
今月はどんな1ヶ月でしたか?
いろんな人のいろんな日々に「わたしにかえる時間」がありますように。
古金谷あゆみ がガイドをつとめる「書く瞑想」クラス情報
朝のジャーナリング~書く瞑想~
書く瞑想「わたしにかえる時間」満月編
書く瞑想「わたしにかえる時間」新月編
イラスト 内田 松里/文 古金谷 あゆみ